冒頭、小津映画の良さが語られるシーンがある。日本的な映画に見えて世界で受け入れられるのはなぜなのか、「普遍性がある」という一言では良くわからないところもあるが、一貫して家族を描いているところが海外の人にも受け入れられているのだと思う。
1983年の東京は小津が生きていた時代とは違うと思うが、ヴェンダースにとっては電車の雰囲気をはじめ感じとることが多かったのだろう。パチンコしている人たちをあんなに詩的に描写できるのは凄い。緑一色の山手線とか懐かしかった。
厚田さんへのインタビューがめちゃくちゃ良かった。彼が小津に出会えたことが幸せだったのが良く伝わってきた。職場でそういう人に出会えることはそうそう無いと思うし、小津自身も彼やスタッフを信頼していたのだと想像する。ローアングルの撮影の仕方のところもとても興味深かった。脚本を見てもなにも理解できないのが悲しいと言っていたのが印象的。
