大道幸之丞

硫黄島からの手紙の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

クリント・イーストウッドによる『硫黄島2部作』の2作目。

日本側から描く本作の主人公は栗林忠道陸軍中将(渡辺謙)であり、本人の手記『「玉砕総指揮官」の絵手紙』に基づいた内容となっている。

そしてもうひとりの主人公として西郷陸軍一等兵(二宮和也)がいる。苦言を呈したいのは時代時代で日本人も「当時の顔つき」というものがある。二宮和也のような顔つきは現代過ぎて、私が物語に入り込めない要因となってしまった。配役の人物設定も当時としてはありえないと感じた。

物語は栗林忠道陸軍中将と西竹一陸軍中佐(伊原剛志)が海外も知る国際派で、対して伊藤大尉(中村獅童)が旧来帝国日本軍人らしく理不尽な命令と人を人とも思わない非道が目立つ人物とのトーンである。中村獅童は本作でも手放しに「嫌われ者街道」を突っ走っている。

玉砕や無謀な戦闘を美化しがちな勢力と人道を抑えた采配が終始対立を繰り返す。がそこで最も命拾いし恩恵を受けたのは西郷だ。

要するに「日本は負けに値する戦闘しかしていなかった」が結論づけされた印象の作品でクリント・イーストウッドも撮りながら自らが本件を学習したかったのではなかっただろうか。

ベースが史実であるので、エンターテイナー性は2作品とも乏しい。学習映画を観る感覚で臨むのが良いだろう。