ゆずきよ

硫黄島からの手紙のゆずきよのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
5.0
昨日「父親たちの星条旗」を観たのでこちらも観なければ終われない。
1作ずつ観ても名作なのだけれど2作観ると感情の渦が5倍にも10倍にもなります。

物語は、激戦地である硫黄島を舞台に戦地へと臨む青年達と、渡辺謙演じる栗林忠道中将の記録。
今作は戦地の映像が中心。
昨日まで笑い合っていた友人の命が一瞬で消える。
上官の無茶とも言えるやり方にも口は出せない。
食べ物も飲み物も無い中で必死にもがき続ける。
全てが真実では無いにしても当時の戦争の恐怖をこれでもかと見せつけてきます。
対となっている父親たちの星条旗と同様に相手の姿はほとんど見えません。
それがまたリアル。
戦時中はイメージばかりが先行していて相手がどんな人間かなんてわかりませんからね。
息も吐かせぬ展開が続き分かりきっていた結末へ向けて物語は進みます。
登場人物達のバックボーンも知れば知るほど悲しくなる。
後半30分はイーストウッド監督らしい物語に重要視されていない伏線回収などもあり最後まで観終わった後はため息しか出ないです。

話はかなり逸れますが、私が今まで読んだ中で戦争の恐怖を1番感じたのは漫画・最終兵器彼女です。
SFファンタジーや恋愛要素により上手くカモフラージュされていますが現代日本(と言っても当時なので少し前ですが)を舞台として戦地になった際の恐怖は当時読んでいて震えました。
後半は段々とSF要素が強くなるのですが前半から中盤にかけての自衛隊の話は今でも脳裏に焼き付いています。
あの作品もイーストウッド監督が映画化してくれないかな…いや無理か。
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