ちゃそ

硫黄島からの手紙のちゃそのネタバレレビュー・内容・結末

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

戦場においても人間は人間。ひとりひとりに人生があり、過去があり、未来があったはずであった。敵であろうと味方であろうとそれは同じ。戦争中という特殊な環境下で戦うことをよしとされ、相手は獣同然であると教えられる。正直ここまでは戦争の残虐さを伝える映画の表現方法としては常套手段であると思う。

しかし、「家族への手紙」の文面として頻繁に家族への想い、そして優しさと思いやりに溢れた嘘が語られる。否が応でもひとりひとりの家族や人生に想いを馳せなければならない。また、それらがあるからこそ、兵士たちの死を無碍にはできない。この点はダンケルクなどとは違う表現方法である。

優しさや素直さなどを持っていれば真っ先に命を落とす場所。登場人物の感じるやるせなさや信念も細かく描かれている。早い段階から援軍がないとわかり、負け戦であることは重々承知であった栗林。最善を尽くそうとするも部下との意見の相違により半ば仲間割れのようにして戦力を失っていく。それでも最期まで抵抗し、そしてアメリカとの友好の証であったはずの銃で自害をする。1人の男として、最高の生き様ではなかろうか。

国の為 重き努を 果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき

最期まで部下を想う栗林の姿に胸を痛める。
ちゃそ

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