じょうパン

硫黄島からの手紙のじょうパンのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.0
従来の戦争映画とはかなり違ったテイストで、私にとってはかなりショッキングな映画でした。

◻️脚本
従来の戦争映画だと、敵国と戦って誰かが死んで悲しい、仇を取るために戦う、なんとなくハッピーエンドのような感じで少し美化されているなと従来の戦争映画を見て感じてしまいます。しかし今作は、戦争中の日本が今考えるとおかしくて恐ろしい考え方が作中にかなり出てきて怖かったです。相手に殺されるなら自害する、逃げずに最後まで戦う、捕虜に取ったアメリカ兵を苦しみを与えて殺す、逃げるやつは味方でも殺す、犬も殺されてしまう、最後は特攻を仕掛けるという、80年前にこんなことがあったと想像するだけで恐ろしかったです。でもこれがリアルなんだと私は感じました。泣きながら天皇陛下万歳と言っていたり、ほとんどの人が国の為ではなく自分の家族の為に戦っているんだなと認識できました。ただ死ぬならせめて日本でという考え方もあるのが新たな発見でした。

西郷が序盤に「硫黄島なんてアメリカにくれちまえ」と言っていたのに、最後は「ここはまだ日本です!」と気持ちが変わるのがすごく良かった。栗林隊長の偉大さを感じました。また敵国と戦っている中でも捕虜に治療してあげたりといい奴もいるんだなと感じました。その捕虜のアメリカ兵の母からの手紙が見ていて悲しかった。

◻️演技
全体的にすごく演技が良かった。必死にその場を生きている感じがした。特に二宮が本当にザ日本兵っぽくて良かったし、淡々としている感じも良かった。

◻️映像
ほぼモノクロのような色味で、おそらく日本兵には硫黄島は地獄の様に見えていたから全体的に色味が暗いのかなと思いました。本来は硫黄島の海は綺麗だそうなのですが、観ている私でも地獄の島に感じました。

◻️まとめ
敵国と戦ってどうとかではなく、ほとんど自国に対しての怖さやヤバさみたいなのが描かれていて新鮮でしたし、戦争映画の中でも個人的にトップ3くらいに入るくらい良かった。

2024 56本目
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