先にNスペ「硫黄島 玉砕戦~生還者61年目の証言~」(2006年)を観てから二度目の鑑賞。感想は正直難しかったです。
Nスペで「硫黄島の戦いは地獄」と元米兵。「極限状態」と生還した元日本兵。「<死んだ意味>は無意味だとは亡くなられた兵士に申し訳ないから言えないが、では何の意味があったかは考えても難しく答えられない」ともいう。ご遺骨がまだ1万柱眠る硫黄島。
夜になると戦争を思い出す、の意味が本作でわかった。昼は見えるから、夜に地下要塞から出て襲撃をかける。
地下要塞18キロの中での地獄をNスペのドキュメンタリーで知り、
以前観たときと同じ感想をもちました。2万人の日本兵、11万人の米兵、日本兵の狭い壕の中での密度や地熱の熱気、水も食糧もなく、そして狂気が蔓延している硫黄島。
その辺りがあまり伝わってこない本作。低予算がよくわかる。
戦争映画の<見所>はなんだろう。
戦士の勇敢さか、私は反戦映画として観ようとしたのにこれも敗軍の将兵を語らず、死に行く者の美学で、日本兵にサムライスピリッツを重ねたアメリカメイドの西部劇テイストを感じました。クリント・イーストウッドであり、渡辺謙だし。
サムライに見えた軍人の栗林中将(渡辺謙)と西竹一(伊原剛志)、国土を守り神の国のために死にたいと願う<国体>。
徴兵された下級兵西郷(二宮和也)。生きて家族に会いたいと思うふつうの人間的な<家庭人>の願望を対比しています。
サムライスピリッツに敬意を示しながら、アメリカ人の視点を西郷に投影し、「無意味な戦い方」を暗に批判し亡くなった日本兵への弔いの映画だと思いました。
Nスペで元アメリカ兵や日本兵が語ったほどの米兵の鬼畜な様子は映画では映像化されていませんでした。戦没日本兵二万人、生還者千人という凄惨さが感じられませんでした。
Nスペ「硫黄島 玉砕戦」も合わせて観ることをおすすめします。
フィクションの戦争映画でもあり、特段の反戦を感じられず、スコア難しくノースコアで。