あさのひかり

都市とモードのビデオノート 4K レストア版のあさのひかりのレビュー・感想・評価

4.0
映像がコラージュのように配されて表現されている。そして、そこに取材先のファッションデザイナー山本耀司のクラフトマンシップと、この取材と関連した監督の洞察とが深く核心に迫る形で表現されてて、本当にビデオノートといった印象。

冒頭の「アイデンティティ(独自性)」という言葉への違和感についての監督の考えにはなんだか共感した。原画より複製の時代になった当時、監督が予測したように、電子による像が力を持つ時代になったと思う。

消費文化としてのファッションと、生活道具としての衣服って本来相反するものなのだ、という学び。山本耀司はデザイナーとして、そのファッションが最前線にいなきゃならないけど、本来は服作りの職人として、最高の生活道具としての服を作りたい人だったのか、と感じた。移り行く流行の美ではなく、用の美を求めていたのかと。そういえば、年とともに道具として服を見る意識の方が高くなったな。

後、二人の会話にはその道を極める人の高いプロ意識も感じるし、とても刺激になった。そういう意味でも、もう一度観たい映画。
あさのひかり

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