桃龍

夢の涯てまでも ディレクターズカット 4K レストア版の桃龍のレビュー・感想・評価

3.5
287分ということは5時間弱かと驚いた。
でも438分の駄作『サタンタンゴ』や369分の『DAU. 退行』を劇場で見たことある俺は平気。配信だから途中で止められるしね。
制御不能となった核衛星の墜落が予測されるというSFで、脳の視覚野を映像化する装置がストーリーのカギとなっている。

前半(と言っても長めの作品1本分ぐらいある)は、ベネチア、パリ、ベルリン、リスボン、モスクワ、北京、東京、サンフランシスコ、シドニーと旅する地球的ロードムービー。最も移動距離の長い映画としてギネス記録では。テンポよく移動するので、あまり長さを感じない。
東京ではお約束のように笠智衆が出てきて名演技。長旅の主人公たちを癒やす役割を日本が担う展開はいいね。

後半は一転、ディザスタームービーとなり、別の作品のよう。やっぱり生き残りたいならオーストリアか?
この分野の邦画の傑作『復活の日』を思い出す。
ただしテンポが悪く、精神世界に入ってゆくので、好みが分かれるのでは。
長かったけど、全体をとおしてヴィム・ヴェンダースのパワーが詰まっているのを感じ、満足した。
桃龍

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