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僕の一番好きだった人のnaoyaのレビュー・感想・評価

僕の一番好きだった人(2021年製作の映画)
4.7
「こんなに僕を好きになれるのが羨ましかった」(うろ覚え)という台詞。自分が相手を想う気持ちと、相手が自分を想う気持ちが全く同じということは本来ありえず、みんながみんな「自分と同じように相手も好きである"はず"」と信じようとしているものである。そういった感情の大きさのちぐはぐさはどんな形の関係にもあって、一見引っかかりのある言葉のように見えて、実はとても普遍的な内容であったことから印象的だった。

平野さんの「言い淀む芝居」が良かった。頭の中では次に発する言葉は決まっているんだけど、なかなかそれを言い出せない時の空気感、沈黙を泳ぐような感覚、焦燥感。泳ぐなんて大層なものではなく、せいぜい「水音を極力立てずに必死にもがく」ようなものだった。そしてそれが美しかった。
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