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余命10年のcinemageekのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.4
「余命10年」は「難病もの」と敬遠をしてほしくない良作
https://youtu.be/CkZ8Betk_co

原作者の小坂 流加の小説の映画化
ご自身の思いがかなり詰め込まれた作品と感じる
原作では茉莉が漫画を書き上げるが、映画は小説を書き上げるとなっており、原作者をリスペクトしてこその変更と言える。


1)小松菜奈 渾身の演技
  見事に演じきった作品

2)死生観によって
  印象が変わるかも?

3)難病モノ映画ではなく
  幸せとは?を考える
  きっかけになる映画

原作の小説そのものが作者本人が余命10年を宣告され まるでドキュメンタリーと言わんばかりに書き上げたもの。

作者そのものが余命宣告を受けからかきあげたこともあって、作品そのものが重たい部分があるが、結果的には見る人を感動させる映画に仕上がっている

映画の場合、原作から改変された部分が多々あるが、流れは原作を大事にしたのものは感じられる。


加えて 見る側が「どのような死別の経験があるか」によって 感情の入れ込み具合や 悲しみの度合いなど 差が出てくるため号泣する人は号泣するし 淡々と受け入れ人は受け入れ作品になっているように感じる


それでもこの映画をワンランク引き上げているのはやはりなんといっても小松菜奈の演技

冒頭から最後まで役作りが大変だったと思うが 本当は 病気に対して怖くて寂しくて不安を抱えているのに気丈に振舞う主人公を見事に演じきっている


坂口健太郎も冒頭の無気力な 若い青年というところから将来に対して夢を持ち少しずつも前に歩こうとする青年を見事に演じている



未来がある坂口健太郎と終わりの未来しかない小松菜奈この二人の 物語を 7年の時間を2時間のまとめということもあり 駆け足で語られる部分もあるが、時間の経過…という演出としてうまくまとまっている。

映画の中ではリリーフランキーがボソッと呟く台詞と 主演の小松菜奈が最後に劇中の中で書き上げた小説の中に書いている言葉が同じ意味合いとして出てくる

それは
一生添い遂げたいと思えるほどの相手が見つかることの奇跡 その奇跡に巡り合えることが幸せなのだと言う 部分を描いているとも言える

そんな奇跡を生きていく上で大切にすることが、どんなに幸せなことなのかというのを感じられる映画とも言える


また 徐々に死を受け入れる家族の辛さと 家族が押し殺す悲しみといった部分を描いておりそういった部分は どの映画でも描かれるものが これは若い子供が死を迎えるということだけにとどまらず肉親をなくすことが分かっている家族の悲しみの物語の一つでもある

小松菜奈の自室の一輪差しが最初は空っぽだったのに、恋をしてからは色とりどりの花が飾られるのが印象的。
それぞれの花言葉を知っていればより深く、茉莉の心理面を知ることができるかもしれない


死別という結末がタイトルからわかるが、周りにいる人を、そしてパートナーとの時間を大切にしたくなる映画になっているので、ぜひご覧ください。
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