理性では絶対押さえつけられない。
涙が込み上げてきて、ついに目を背けてしまった。
この映画で1番美しいシーンなのに。
余命が短いと宣告を受けた茉莉、
生きる意味を見失っていた和人を始めみんな、
慎重に言葉を選ぶ。
小説の行間が感じられて、
こちらがゆっくりと聞く体勢になっているところに、
走馬灯のように楽しい思い出が早々と流れてくる。
誕生日パーティー、海水浴、
カウントダウンイベント、
取るに足らないシーンなのにものすごい多幸感があった。
病気が題材、ピアノ伴奏、ビデオカメラの荒いリアルな映像で過去を振り返るなど、基本的な涙を誘う演出がありつつ、逆説的なシーンがより心を乱してくる。
幸せそうなのに、満腹なのに、体が触れ合っているのにとてつもなく痛々しい。
娘にかける言葉もない父親の無言の涙なんて見ていられない。
悲痛な場面が多いが
茉莉と和人、2人の1番大事な思い出の先、未来が
現実的なものとして残り、幻覚的描写としても現れ救われた。
周りの人を思い、自分が納得できるように頑張ってきた茉莉には生きてほしかったとは思うが、
腹落ちできた。
坂口健太郎くんの全てを受け入れて前を向こうとする表情がよかった。