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余命10年のfushikoのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
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私にとって、人が持つ"時間”というものの重み(辛い悲しい重みではなくて、その人が在る意味となりえるものという重み)を知る作品だった。そう思えるシーンがとても多かったように思える。限られた10年を生きる茉莉と、茉莉と出会う事で生きることを見直し始める和人。ふたりの生きる時間は同じなのに、時間軸が違うこの切なさは苦しくて、でもそれを悲観的に御涙頂戴感で描くのではなくて、とても日常的に描くこの監督の作品への向き合い方がとても好みだった。それが返って心に来て、自分の日々の幸せがどれだけありがたいものなのかを自省さえした。あとはそこに坂口健太郎と小松菜奈ちゃんの儚さが重なり、後半からは涙でスクリーンがぼやけっぱなし。小松菜奈ちゃん。訴えかける目つきや満点の笑顔、感情露わにするシーン、くるくると変わる表情がどれも唯一無二で、その女優魂が余韻に残るほど伝わってきた。良い感想なのか分からないけれど、私はこの2人だったから、さらに良かったと思えた気がする。そのくらい、2人の世界観が教えてくれるものは多かった。また観たいなあ。
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