このレビューはネタバレを含みます
初めに「余命10年」というタイトルを見て受けた、ありふれたお涙頂戴映画だろうという斜に構えたイメージを良い意味で覆してくれた作品。
四季折々の映像を撮る為に長めの撮影が行われたとのことで、その映像美も然る事ながら、出演者全員の演技が素晴らしかった。
小松菜奈はこの為に10キロにも及ぶ過酷な減量に挑んだとの事。凄い。
松重豊さんの抑えた演技がとても自然で生身の父親という感じがした。
楽しい余生を過ごす傍ら、病状の悪化に伴い薬ケースに仕分ける薬が増えていく様子、男に隠しながらの闘病生活。そして残される側である家族との葛藤や、理解者となってくれる友人が居る反面、無理解な友人もいる。私は実際主人公のような状況に立たされた事は無い。しかしそういった節々の細かい描写に妙にリアリティを覚えるのはやはり、フィクションを含んだ作者の実話を元にしているからか。
既に亡くなられた小坂さんの原作も記憶が残っているうちに読みたい。