ゆ

余命10年のゆのネタバレレビュー・内容・結末

余命10年(2022年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

2024-01
「余命10年」というタイムリミットの存在は、小説の上においても確実に儚さを感じさせてくるものである。

この映画作品においては、『小松菜奈』という演者がその『儚さ』という要素を確かなものにしていたように思う。他の誰でもなく、彼女だったからこそ、長いような短いような10年もの主人公の日々を、儚くも鮮烈に描くことができたのではないか。この映画の主人公を演じることができるのは彼女を相手他にはいないとさえ思えた。

『余命』といったような、いわゆる泣かせる系の作品は、儚さの演出が何よりも重要だと、個人的に考えている。

前述のように、この作品の『儚さ』を確かなものにしているのは、『小松菜奈』という演者であるこおに間違いないだろう。しかし、演者だけの力量では完全に表現することは難しいと言える。
その点において、この映画では、フィルターの『青み』が重要な役割を果たしていたように感じた。
泣かせる系の作品(青春っぽいものなども)は、比較的、青みがかったフィルターで映像が構成されていることが多いように感じる。それは、青みのかかった(ように感じた)映像は、透明度が上がるように感じられる点を利用しているからなのだろう。透明度が上がるということは、その物体や存在の確固たる証がぼやけ、揺らぐということであるように思う。この点から、透明度が上がることは、儚さにつながると考えられる。

加えて、ピアノや弦楽器などの高いキーで、爽やかさを感じさせるBGMが流れていることや、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎氏の優しい歌声は、さらに作品の透明度や儚さをあげている。

きっと全てを総合した上で、儚さを感じられ、だからこそ「生」に執着する姿を見ると涙が止まらなくなっしまったのだろう。

長々と書いたが、要するに、『めちゃくちゃ泣いた』というだけである。
好きか嫌いかは正直よくわからない。多分どちらでもないのだろう。
ゆ