のりまき

殺人者の記憶: デニス・ニルセンが残したテープののりまきのレビュー・感想・評価

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かなりドラマティックに作られているので、堅実なドキュメンタリーを期待すると当てが外れる。

しかし古いカセットテープから流れる楽しんでいるようなデニスの声を聞いているうちに悪夢のような不思議の国に迷い込んでしまう。

80年代ロンドン、つまった排水溝から掃除人が発見したのは「肉と骨」。目撃された住人の部屋を訪れた警官のインタビュー。「すぐ気づいた。臭いだ。どこにある?と聞いた。やつは指差した。」

抑圧された人間がシリアルキラーになってしまう例は少なくない。私生児として生まれ、心の拠り所である祖父を失い、ゲイである自分を隠さなければいけなかったデニス。ともすれば彼をいびつな階級社会の被害者であるように勘違いしてしまうかもしれない。しかし彼の狡猾さ、卑怯さはその社会を利用していることからわかる。

非常にイギリスらしい事件であり、映像やファッションからもイギリスらしさを、存分に感じ取れる。そういうものに興味があるなら自分の心臓の強さを試してみてもいい。
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