ドーナツなのにリドリー・スコット製作総指揮😆
アメリカ人は皆ドーナツ好きだからね、ドーナツこんなに美味しいよ！という映画かと思ったら、存外にしょっぱいというかピリッとした作品だった。
だてにリドリーじゃなかった。
全米では2万5000以上のドーナツ店があり約5000店舗がカリフォルニア州にある。そしてその内90%をカンボジア系アメリカンが経営しているそうだ。
そのおおもととなったのが、1975年にカンボジア内戦から逃れてきたテッド・ノイという人物。アメリカのドーナツ業界における伝説だ。
作品は、概ね時系列でテッド・ノイが如何にしてドーナツのキングとなったかを関係者のインタビューや過去の写真、映像を交え紹介していく。
彼の才能と運もあったろう、無一文のアジア系移民がみるみる成功者に成っていく様子(総資産2000万ドル！！)と、仲良し家族との大豪邸の素敵な生活、おいしそうなドーナツ。楽しい。
だが、さしはさまれるポル・ポトのクメールルージュによる大虐殺の歴史と、うっかりはまったギャンブルで全てを失うテッドの人生パート。これはかなりシビアである。
カンボジア内戦に関しては、そこまでいれるかという程度には詳しく語られ、とても勉強になる。当時のアメリカ大統領フォードは積極的に対応し、多くの反対派を除けカンボジアから多くの移民を受入れた。曰く「アメリカは移民の国であり、経済状況は関係ない」(当時のアメリカは不況真っ只中) 。そもそも彼は副大統領の辞任で副大統領になり、その後のニクソン辞任で大統領になったという、大統領選挙の勝利で選出されていない唯一の大統領である。
テッド・ノイがドーナツのキングになった要因には、なんと多くの偶然や巡り合わせが絡んでいることか！！
最終的にテッドは家族と別れ故郷に帰り第２の人生を送るわけだが、アメリカを再訪し多くの人と和解している様子はほっとする。
今はもう、カリフォルニア州も大手チェーンが進出しているが、テッドから始まった各個人店のドーナツもがんばっている。子供孫世代が、新しい商品を考えSNSで魅力的に発信し、お陰でアメリカのドーナツはやっぱり最強だ。
少しストーリーや登場人物がとっちらかる部分はあるが、ポップなトーンで観やすく興味をそらさない作品だった。
ちなみに、私は途中どうしてもドーナツ食べたくなったので一休みを入れ、近くのセブンで買って来て食べながら続きを観ました。
いちばん好きなドーナツはスタバのプレーン。次にクリスピー・クリームのシンプルなやつ。
