学生7年目、引きこもり気味の友人が奇妙な話を打ち明けた
「夜中に巨人が町の中を歩いてるのを見たんだ。」
と、そして彼は地球に終わりが近づいてきていると言う。
いつのまにか手足を縛られ、家に軟禁された主人公。
大量の手羽先が用意されていた。
咀嚼音やまな板が包丁にら当たる音がここまで不気味だと感じた事はない。
巨人の存在を信じて欲しいばかりに『友達』を軟禁するとはいかがなものか・・・
一瞬ホラー並みに緊迫した雰囲気を出しておいて、主人公は意外にも冷静だったことに笑ってしまう。
ホンダは、この東京には夜な夜な巨人が歩いているという不思議な話をしだす。
そうやって彼はずっとベランダから外を見つめ続ける。
僕はそんな彼を否定しない。否定しないながらも、巨人のいない空を見上げる。
いつのまにか世界は何層にも分かれていて、僕と、ホンダは違う場所に立っていたようだ。
不気味なホンダと真正面で会話をする僕もまた少し不気味。
4:3の画角が鬱屈したいまの世界を表しているようだ。
何が次に起こるのか全く読めない不安定さがなんか良かった。