イチロヲ

レイプハンター 通り魔のイチロヲのレビュー・感想・評価

レイプハンター 通り魔(1986年製作の映画)
4.0
過去のレイプ被害のショックを抱えている女性(麻生かおり)が、虚妄癖の発症に苦しめられてしまう。虚実不明瞭の世界に取り込まれた女性の辛苦を描いている、日活ロマンポルノ。

主人公と同居している女性(榊真美)が、身元不明の青年(山路和弘)を匿うところから始まるトランス・ワールド。主人公が犯人の肉体を追い求める側へと変身していく過程が、観念的なサスペンスを通して描かれる。

本作を鑑賞するにあたり、レイプ被害で「本気で感じる」というファンタジーを許容する必要あり。あくまでも、「愛憎が生み出す負の連鎖」が題材であり、レイプ被害者の心の綾をリアリティ志向で描いているわけではない。

登場人物では、診療室をカメラ撮影して、患者別のテープをコレクションしている産婦人科医(中丸新将)が面白い。70年代作品の風間杜夫を彷彿とさせる、朴訥な青年の登場もエクセレント。
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