このレビューはネタバレを含みます
団地が舞台の北欧サイキックスリラー。石動かすくらいの超能力なんでしょくらいの情報で観に行ったら、念動以外にもテレパシーやら人体操作やら多様で嬉しい手数。能力系ジャンルでの個人的な楽しみである検証パートもありニヤニヤ。団地を背にして手前に池があるショットとか遠くにベンがポツンと立ってるあの不気味さとか印象的な画が良かったです。
北欧の恐怖ジャンルというと宣伝文句にミッドサマーがよく使われるようで、本作もその一種のよう。ミッドサマーのカルト教団コミュニティとは全然異なる環境、異国なれど庶民的な雰囲気は親しみを感じる人が多い団地の風景という設定ながら、ミッドサマーでグッと掴まれた部分を本作でとても感じました。それは「想像通りに嫌な予想を的中させてくる」ところです。じわじわと頭にチラつく恐怖を想像通りにぶつけてくる恐怖が凄まじく、猫の頭パキャやサッカー少年の足を折るシークエンスの最悪さといったらもう最低な気分にさせられつつもスリラーとしては最高のシーン。ベンがジーーーーーーっとサッカーの試合見てる時の「あーやっちまうのかぁ〜」と外れてほしい思いを胸にハラハラしつつ無惨にも…。沸騰した鍋を見つめてる時も「あ〜母親にかけちまうのかぁ〜」とドキドキしつつ悲惨ながら…。ミッドサマーのどのシーンかはここでは言及しませんが、何の裏切りもなくじっくりと観客の想像通りの最悪に着地させてくるあの焦らし時間の恐怖がとても良かった部分。
主人公のイーダに関して、ただの良い子でなくどこか意地悪な面が存在する点が面白く、その素性ゆえ猫落としの件も最初は乗り気だったものの、次第に「あれこれヤベーことなってね…」と引き際を把握するという変貌を見せます。残酷な一面は垣間見せつつもその大きさはベンと異なっているのは、親からの普段のアプローチに根付いていそうと思うと、無垢な心が興味本位に動くのはどの子も同様で、その子たちが普段どういったアクションを大人たちから受けているかによって違いは大きくなってくるという、周囲の大人の影響はでかいという至極真っ当な背景と受け取ってますが単純過ぎますでしょうか。友達を殺害しかけて帰宅したベンが号泣しながら母親に縋る辺りは、子供だけど超えちゃいけない一線超えてしまったんだよ君…と思ってしまいます。
ベンの母親の死が発覚してたら引き取られるんじゃないか、放置してたら死臭凄いんじゃないかとかベンが普通に出歩いてる所で気になったものの、おそらく新能力で隠蔽したと解釈しておきましょう。短期間で人が死にすぎ（ウザ絡み少年・アイシャ＆母・ベン＆母）だし、謎に骨が折れた少年や操作系異能により人生狂った人であったり、都市伝説のスポットになるのは間違いない。最後アナが誰かからのメッセージを描くのではと恐怖しながら期待していましたが蛇足でしょうね。
