So

イノセンツのSoのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.5
四人の子供達が持つ特殊能力が繰り広げる、いわゆるサイキック=psychicサスペンスホラー。

虫や小動物へ向けられていた「子供の無邪気な残虐性」が、子供の遊びの範疇から次第に歯止めが効かなくなっていくサイコパスな日常世界を描いています。

大人(=母親)への抑圧感、上級生への反抗心、そしてちょっとした自尊心の傷で生まれた小さな怒りが抑え切れなくなる一人のサイキックの男の子。

その非力さがゆえに、己の特殊能力に徐々に傾倒していく危ない幼さ、そして“あどけない殺意”へと彼を追い詰めていく展開がかなり怖しいです。

そもそも子供は無知なままに振るう屈折した悪意(と呼ぶにはまだ幼すぎる無垢な残酷さ)を備えているもの、という事実に対して、大人は刮目を促される気がします。

北欧映画特有の、終始作品を包むじっとりと重いアンビエンスサウンドと、青調のセピアでコーデックされたダークな映像に気が滅入ります。
またじっと感情の変化を待つような表情の長回しや、痛覚をえぐってくる描写も北欧映画に通じる作品性。

「ちゃんと」気味悪がれて、「しっかり」ダウナーになれるコンテンツもまた素晴らしい創造物ですよね、これもまた映画らしい映画の一つ。

この夏の猛暑のさなかのクールダウンにぜひ!
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