ゆきゆき

イノセンツのゆきゆきのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.7
北欧ホラーのあの冒頭から肌で感じる不穏さは堪らないですね。あの数分で主人公姉妹の関係が良くないものと分かります。

少年少女の無垢さ故に生じる超能力。自閉症とそのケアラーに移民と、社会から疎外された子供たちがその能力でお互いに交流を深めていく序盤は心温まる。しかしその交流の中で力を強めていったサムの暴走。悪戯ではなく、明確な意志を持って母親を手にかけた瞬間からの取り返しのつかなさに背筋が寒くなる。

親や周囲の人間に助けを求められなくなったイーダが頼るのが、今まで疎んじていた姉のアナだという皮肉。アナがサムに立ち向かうのは妹を守るためなのか、自分の保護のためか、友人の敵討ちのためか。

ストーリー、主演の子役たちの演技、ラストの描写を含めた映像表現とどれも素晴らしかったけど、あからさまな大友克洋『童夢』からのオマージュだけが気になってしまう。原案などにクレジットされてれば話は別なんですけど。後々トラブルにならないように、事後でも許可とってほしいな。
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