大友克洋の『童夢』にインスパイアされた作品。
最初に『童夢』を読んだ時は、正直内容がよく分からなかった。
むしろ本作を観て初めて『童夢』で描こうとしてたものが理解できた。
『童夢』ではチョウさんが他人を操ってることがちょっと分かりづらかったが、本作ではベンがボールを床に叩きつけるカットからオッサンが石を打ち付けるカットに繋げることで「今このオッサン、ベンに操られてる!」ということが分かりやすく、それでいて視覚的に示されている。
ラストバトルの構図はまんま『童夢』と同じではあるが、間に川を挟むことで、目に見えない超能力バトルの静謐さを保ちながらも映像的により映える形で描かれる。
さらに、ベンがアイシャを超能力で窒息させようとした描写が前フリとなって、ラストバトルの決着も飲み込みやすくなっている。
自閉症の姉アナは『童夢』で言うところのヨッちゃんポジだが、最初は意思表示できない姉の腕をつねったりしてたイーダが、超能力を介して意思疎通できるようになり他者への共感能力を得た上でベンを…
という流れは『童夢』よりドラマチック。
物語の流れも視覚的な演出的にも『童夢』からのアレンジがメチャ秀逸なので、『童夢』未読の人は本作を観てから読んでみて。