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イノセンツのkazukiseraのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.7
緑豊かな郊外の団地に引っ越してきた9歳の少女イーダと自閉症で口のきけない姉のアナ。
同じ団地に暮らすベン、アイシャと親しくなる。ベンは手で触れることなく小さな物体を動かせる念動力、アイシャは互いに離れていてもアナと感情、思考を共有できる不思議な能力を秘めていた。夏休み中の4人は大人の目が届かないところで、不思議な能力を"子供らしい遊び"として楽しむ。遊びだった時間は次第にエスカレートし、取り返しのつかない狂気となる。

サイキックスリラーといえば
ど派手な演出で、厨二病を満たしまくってくれそうなイメージですが
北欧作品は違います。静かです。とにかく静かです。この品のある質感に今では厨二病の私も虜になっております。

主人公となる四人の子供

私達が子供だった頃、小学校に必ずいたタイプの子達だと思います。

"イーダ"
イーダはまだ善悪への境界線が曖昧な小さな女の子で倫理観は不安定。
"痛みを感じていないから"
それを理由に障害を持つ姉のアナに対して、つねったりガラスを靴にいれたりします。
私たちも痛みを感じないからが理由かはわかりませんが、雑草を刈ったり、魚を釣ったりする事に"かわいそう"と感じる人は少ないでしょう。虫もわざとふみつけて殺します。そんな子供は沢山いるでしょう。イーダは何の能力も持たない普通の子です。

"アナ"
イーダの姉のアナは重い自閉症であり、会話ができるような言葉を発する事もできない。中学一年生くらいかと思われる容姿ですが
"アゥウ、アゥウ"その程度の言葉を発しながら、ずっと鍋蓋をまわしたり、ぐじゃぐじゃにお絵描きをしたり。赤ん坊みたいな感じです。なので母親も父親もアナにつきっきりでありイーダはそれが気にくわないのでアナに意地悪をしたりします。でも、アナの中では年相応の感情も痛みも感じます。医学では解らないアナの心の中を引き出してくれるのが"アイシャ"です。アナは、アイシャと共にいると力を発動します。未知数の強さのサイコキネシスです。

"アイシャ"
同じ団地で暮らすイーダと同じくらいの幼い子供アイシャ。尋常性白斑だとおもわれる白い斑点がある黒人の女の子。とても優しい子で倫理観も高く、正義感も強い善人と言えるでしょう。アナと心で会話でき、アナ自身にも言葉を話させれるほど強いテレパシー能力を持っています。離れていても、強い恐怖感や殺意、怒りなどを察知したり、相手に言葉を伝えたりすることができます。

"ベン"
ベンは、孤立してて内向的な性格たが、
自分より弱い人間とは交流をとれるし、
更に弱い生物には非道になる。
私達が子供の頃にも猫や犬をエアーガンで打ったり、
虫をおもちゃのように遊び道具にして
ゲラゲラ笑ってる人種がいただろう。
ベンは、名前までつけて可愛がってた野良猫を
おもちゃのように扱い、簡単に壊しちゃいます。
イーダより論理観が欠如しています。
とは言ってもまだ子供なので
全てに絶望してそうなってるわけではなく
自分が楽しいと思う事をやっているだねなのである。
ベンの能力は落下する軽い物質の軌道を
変えれるくらいの力から始まり、
殺傷能力のあるほどのサイコキネシス、
対象に幻覚を見せて自分の思い通りに動かせるなど、
倫理観が欠如した人間が持つと
非常にやっかいな力が発達していきます。
イーダがこの団地に越してきて
最初に友達になるのがこのベンです。

たまたま出会ったこの四人
団地という狭い空間の中だけで
子供達の静かな闘いが始まる。

監督・脚本を手掛けたのは、
ノルウェーを代表する映画監督ヨアキム・トリアーの
右腕として『母の残像』『テルマ』などの脚本を共同で務めた
鬼才エスキル・フォクト。

最後の階段で起こる事柄は、
おあずけをくらってた厨二病フリークス達にも
歓喜の瞬間となるでしょう。

この質感
やっぱ好みだわ 

テルマより好き