レオン

イノセンツのレオンのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.7
見逃し話題ホラー (★平均3.8 UNEXTポイント課金)
子供の心理描写や、不思議な能力の伝搬をうまく描写しているが、1カ所に大きな引っかかりが・・。

とにかく子役の演技が自然で見入る。 全シーンがカメラを全く意識してなく、どうやって演技させたのかと感心する。
特に自閉症児の子役は、演技なのか本当にそういう症状がある子を使っているのか、分からないぐらいに感じてしまう。
(尚、今作4人の子役全員が、ノルウェーのアカデミ賞ともいえるアマンダ賞で、主演女優・主演男優賞にノミネートされている!)

ただ、情報量が少ないシーンでも、進行スピードが遅く、じっくり見せるシーンとの緩急差をもう少し付けてほしいと感じる。

物語は、無垢な残虐性がどこまでが悪戯で許されて、どれ以上が許されないのかが、その子に依って大きく相違する。
許されない限界を超えた時、大きな事件に豹変してしまう・・。


ややネタバレ ↓


誰もが男の子ベンの凶暴性に目を背けたと思うが、猫にした様な事を母親にして、一つの幼い人格として平気なのだろうか・・。

日本で実際に起きた、女児連続猟奇的殺人犯の宮崎も、近所の猫を惨殺していて、その後に人を殺めている。
が、家族にはオタク的性格は認知されるも、その残虐性は分からぬ様に接していた。

だがこのベンは母親から虐待を受けた様子もなく、通常の生活シーンでいきなり、その犯行に移行する。
そしてしばらくは気にも留めない・・。
この辺に、映画としての脚本を感じてしまう。
そう、意外性の強調・・。

子供でも5~6歳になれば、家族の境遇やそれぞれの役目を理解し、勘のいい子なら、親に遠慮までしたりする。
だから、あのシーンの描写がもっと必然的に起こった様に演出すれば、違和感なくもっと作品に没頭出来たかと・・。

超能力作品はごまんとあるが、大スケールCGシーンより、今作の様に小さい力をじっくり描写した方が、より引き付けられる事を証明した事は秀逸。

子役の名演は認めるも、遅い展開と上記意外性が引っかかり、佳作ぐらいの★評価に。


PS
「アキラ AKIRA」(1988年)を初めて視聴した後、もし自分が監督でサイキック物実写映画を撮るとしたら、子供の小さな力から描写するだろうな・・・・と夢物語で考えていたシーンとよく似た描写が今作にいくつかあり、驚く事に♪
レオン

レオン