かじドゥンドゥン

イノセンツのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.0
ノルウェーが舞台。郊外にある団地へ越してきた、少女イーダと、自閉症で言葉を失った姉アナの家族。

団地で知り合って姉妹と遊ぶようになったのは、アフリカ系の黒人少女で、皮膚病のせいかこれまで孤独に過ごしてきたアイシャと、同じく仲間から除け者にされてきた少年ベン。実は彼ら、特殊な能力の持ち主で、アイシャは人の気持ち(特にアナの気持ち)を読めるため、彼女を媒介してアナが徐々に言葉を取り戻す。そしてベンは、ものやひとを自在に操ることができる。はじめは、身近にあるものをテレパシーで動かして、イーダを喜ばせ気を引くことにだけに能力を使っていたベンだが、母からの虐待に耐えかねて、テレパシーでフライパンを飛ばして母の頭にぶつけ、さらには沸騰した鍋をひっくり返して脚に火傷を負わせて、そのまま放置(死亡?)。また、階下の住人を操って、自分をいじめてきた年上の少年を殺害させもした。

彼の能力を知る子どもたちは、ベンの行き過ぎた所業を咎めるが、そのことを逆恨みしたベンは、女手一つで娘を育て育児ノイローゼ気味だった母を操り、我が子アイシャを刺殺させる。これに怒ったイーダは、ベンを誘い出して、歩道橋の上から突き落すが、ベンは一命をとりとめ、イーダへの復讐を目論む。そこで立ちはだかったのは、言葉こそ話せないものの、テレパシーは誰よりも強力なアナ。彼女はベンと対峙して、大地を震わせ、ついにベンの息の根を止めたかのように見える。しかし結末はオープンで、つまりベンがまだ生きていて、再び能力で姉妹に働きかけているような暗示があって終わる。

北欧ホラーも玉石混淆。なんでもかんでもありがたがるべきではないだろう。