くさむすび

イノセンツのくさむすびのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.5
メンタルの調子が良くない日に見る映画では無かった。子供が超能力を得る非現実的な話ではあるんだけど、超能力を持たない通常時での純粋な悪意と、各々が覚醒して能力を使いこなすまでをじっくり描いているから、ファンタジーとは思えない現実と地続きの心地悪さを感じる。力が良い方向に作用するアナ、人を貶める方向に使うベンという対比は多様なメタファーとも取れるし、メインの子供たちの中で唯一能力を持たないイーダの使い方も素晴らしい。イーダの芽生え始める自覚も必ずしも正しいとは言えないが、でもあの方法しか浮かばない。残酷すぎるまでの成長譚。水、砂、靴の使い方一つとっても素晴らしいし、あくまでもミニマムの域を脱さないサイキックスリラーだからこその怖さがある。『クロニクル』大好き人間にとっては堪らない映画でした、好き。
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