たく

道化師の夜のたくのレビュー・感想・評価

道化師の夜(1953年製作の映画)
3.7
イングマール・ベルイマン監督1953年作品。サーカス団での痴情のもつれというプロットが小津安二郎の「浮草物語」(1934年)と似てて驚いたんだけど、インスパイアされたんだろうか。

冒頭の移動中のサーカス団を見せるカメラワークと編集が素晴らしくていきなり引き込まれた。その後のコリンズとアルマの回想シーンでサイレント的な映像に大砲の音だけが鳴り響く中、ストラヴィンスキーのサーカスポルカっぽい軽快なBGMが流れる演出が何だか怖い。

団長のアルベルトが3年ぶりに息子に会うため疎遠になってた正妻の元に行くことで愛人のアンヌとの関係がこじれて行く話で、醜男のアルベルトに若く美しいアンヌが執着してるのが共依存的な関係に思えた。ここからアンヌが劇団員に目移りしてからの、拳銃を手にしてのたうち回るアルフレッドに人間の苦悩が集約されてた感じ。
すったもんだの末にいよいよサーカスの本番が始まるんだけど、出し物より男同士の決闘が一番盛り上がるのがなんとも皮肉。ここから最後にアルフレッドとアンヌが何となく寄りを戻す感じも「浮草物語」みたいだった。

ハリエット・アンデルセンが奇麗だなーと思ったらベルイマン監督の「不良少女モニカ」でデビューしてるんだね。ちょっとリリー・コリンズに似てる。
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