不在

道化師の夜の不在のレビュー・感想・評価

道化師の夜(1953年製作の映画)
3.8
あまりにも惨めなこの男からは、90分程度の枠には収まりきらない悲しき人生が窺える。
ベルイマン自身もそうだったように、人の愛し方を示す手本である父親という存在が、その役目を果たさない家庭で育ったのだろう。
彼はアダルトチルドレンなのだ。
それの分類の1つに、まさに「道化」というものがある。
基本的には、他人の顔色を窺って自分の感情を殺して陽気に振る舞おうとするが、権力者には媚を売り、その必要がない相手には高圧的な態度を取るという特徴を持つ。
映画のラストで、鏡に映るもう1人の自分、つまり「道化」としての自分を銃で撃って殺すが、それでもなお彼は救われないのだ。
不在

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