このレビューはネタバレを含みます
90分の尺でここまで語りきるベルイマンの凄み。
団長とアンの絶望の極みというシーンで突然あらわれる道化師が効果的でどん底に落ち狂気に駆られる団長の横で何も考えずべらべらしゃべる道化が重く、暗くなるはずのシーンに不思議な軽妙さを与えている。
サーカスのシーンのアンが馬に乗りぐるぐる回る→仁王立ちで劇団の男を睨む団長→女と笑いながらアンをみつめる劇団の男の目のアップ、が繰り返されるところは団長の頭のなかを映像化してみせたようで素晴らしい。
また、最後の団長が拳銃自殺するかしないかというところの猫のなんともいえない表情。この突き放したような演出も道化師の登場と同じ効果をあげている。
しかし、今みるとアンの理不尽な仕打ちや最後の無意味に撃ち殺される熊(何かのメタファーなのか?)など釈然としないところもあるがこれもまた時代の制約ということで