あまりにも惨めなこの男からは、90分程度の枠には収まりきらない悲しき人生が窺える。
ベルイマン自身もそうだったように、人の愛し方を示す手本である父親という存在が、その役目を果たさない家庭で育ったのだ…
暮らしは浮草、魂は雑草。
道化師を描いた今作が興行的にコケて、フェリーニの『道』が絶賛されたので、ベルイマンは歯痒い気持ちだっただろう。今作の巡業サーカス団にあるのは差別、貧困、屈辱、憐憫とまあ、…
このレビューはネタバレを含みます
妻を捨て巡業サーカスを生業にするアルベルトは愛人アンと久しぶりに故郷に戻ってくるが、巡業サーカスに嫌気がさしてるアルベルトは妻と元鞘に戻ろうとし、それを面白く思わないアンは当てつけに偶然言い寄ってき…
>>続きを読むイングマール・ベルイマン監督『道化師の夜』(1953)
DVDにて鑑賞。
まず座長アルベルト(オーケ・グレンベルイ)の精悍な顔の力がすさまじい。
サーカスという泥臭い仕事への卑屈な思いと、酩酊…
巡業しながら町を渡り歩くサーカス団を描いた悲哀に満ちた人間ドラマ。
サーカス団の地位の低さや貧困、差別を底辺に描いた作品で、道化師の白塗りや人々を笑わせるステージは悲哀の象徴のよう。
妻に拒否さ…