ジャイロ

ロスト・ボディ ~消失~のジャイロのレビュー・感想・評価

ロスト・ボディ ~消失~(2020年製作の映画)
3.8
夏になると死体が消える映画を観たくなりますよね。私が私のためだけにお贈りするこの企画。眠れぬ夏の夜に、今年も消えた死体の理由を楽しみたいと思います。

「真夏の夜のミステリー消える死体の映画祭2022」

(この企画、今年でもう5年目を迎えます。つまりとっくにネタ切れしているわけなんです。こじつけでもいい、とにかく死体が消えて欲しい。そんな想いでいっぱいです)

映画そのものの評価ではなく、以下①~④の観点で評価して点数をつけます。作品の面白さには全く関係ありません(でも加点で微調整してるのはナイショ)。

評価はデフォ1点+以下それぞれ1点満点で

①死体の消し方に趣向を凝らしているか
②背景
③意外性
④美しさ


今年の1本目はこれ

『ロスト・ボディ〜消失〜』

死体喪失ジャンルの傑作『ロスト・ボディ』とは別物です。同じスペイン映画とはいえ、ここまでタイトル被っていいの?まぎらわしいことこの上ないんじゃないの?

邦題:『ロスト・ボディ』
原題:『El cuerpo』意味:体
監督:「オリオル・パウロ」→安心納得の監督
キャッチコピー:「予測不能の大ドンデン返し。ラスト10分、驚愕の展開が待っている」

邦題:『ロスト・ボディ〜消失〜』
原題:『A PERFECT ENEMY』意味:完璧な敵
監督:「キケ・マイーリュ」→『EVA エヴァ』の監督さん
キャチコピー:「名作『ロスト・ボディ』の系譜を受け継ぐどんでん返し系スパニッシュ・スリラー」

なるほどなるほど。とりあえず騙そうとしてくるのは分かった。でもね、死体消えるって一言も書いてないのが少し気になる。タイトル通り、死体、ちゃんと消えてくれなくっちゃあ困るんだよなぁ。これで死体消えなかったらどうしよう…不安



①死体の消し方に趣向を凝らしているか

まるで誘導されていくように、それの場所が脳裏に浮かんでくる。ふむふむ。これはアレだ。だいたいわかった。そう思ってましたクライマックスまでは

最後のピースだけがはまらない。なぜ?いったいどうして?を楽しめるかどうか、そこに個人差がありそうだと思いました。私は楽しめましたけどね。しかし肝心の死体の消し方がなぁ。やたらと完璧を主張してくるので、さぞかし完璧な消し方なのだろうと期待が膨らんでいただけに肩透かしくらっちゃいました。もう一捻り欲しかったな…
[0.4]


②背景

この映画、2021年のシッチェス・カタローニャ映画祭で上映された作品なんだとか。「シッチェス・カタローニャ映画祭」は、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭であり、ファンタジー・SF・ホラー・アニメーションなどのジャンルに特化した映画祭として「ベルギー・ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」「ポルトガル・ポルト国際映画祭」と並ぶ世界三大ファンタスティック映画祭のひとつなんだそうな。1986年から開催されており、過去の受賞作は『ガタカ』『キューブ』『リング』『落下の王国』『月に囚われた男』『アイ・オリジンズ』など、実に私好みの作品が並んでおり、今後も注目していきたい映画祭です。毎年10月に開催されるとのことなので、あともう少しですね。今年も楽しみ。
[0.7]


③意外性

第一話、やばかったなぁ。気持ち悪くなった。ウゲー。第二話から不快感とホラー要素が加速していき、第三話になるともう悪い予感しかしなくなる。そして完全に騙されましたね。他の方のレビューを読むと、オチがすぐ読めたという方が多くいらっしゃるようなのですが、みんなすごいなぁ。私はオチまでは読めませんでした。物語としては賛否両論ありそうだとは思いますが、そもそもどんでん返しをしてなんぼのジャンルですし、結末も含めスリラーとしてはなかなかだと思いましたけどね。個人的には楽しく騙されたので、想定していたより数倍面白かったです。
[1.0]


④美しさ

死体の造形・演出に関しては、ほとんど評価できません。ただ、まるで泥沼に沈んでいくような構成と、ミニチュアの世界にセンスを感じる。そこを評価
[0.7]