ラピュタん

パラレル・マザーズのラピュタんのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
4.4
美しいキスで語りかける
世界を作るのはいつも女性であると


なんといってもずっと見つめていたいクルスさんの魅力に引き込まれます(ファンというほどではないのですが、やはり美しい)
登壇者は女性ばかり(ひとりの狂言回しを除いて)ですが、どなたも素晴らしかったです!

進行はゆったりしていましたが、色彩のもつ豊かな美に支えられた画に魅せられるので飽きません
色彩が実に豊かでしたが、赤🔴が主体で、それを黄🟡が温かく支えていて淡い緑色🟢が安定感を与えつつ、例外的に主に2つのシーンでだけ青🔷が差し込まれていました
錚々たる一流ブランドに囲まれて、Canon、FUJIFILM、SUZUKIが! 

スペインならではのドラマは静かに流れてゆき、同じ日に出産した母2人の友情、恋慕、裏切りののちの融和を経て、いつしか大海原へ…

美しい現在はシンプルなようで
複雑に絡み合っていて
現在の姿は、過去の母たちの物語でもあるということを気づかせてくれます

未来を拓くのは、いわゆる争う男性的なものではなく、融和という女性的な力なのだと感じました

美術館で過ごす2時間のような芳醇が劇場で待っていますよ!


中学生以上どなたでも
カップルや夫婦にも好適
女性に強く響くと思いますが、
とくに男性は観ておくべきかと!


以下、ネタバレ直前
〜  〜  〜  〜  〜🍀





WW2前夜にスペイン全土を巻き込んだ内戦は、国内を分断し大きく傷付けたようです

 1936-1939 の内戦と
 その後のフランコ独裁政権

戦火と戦後によって多くの虐殺が行われたため、4世代前の母親が見舞われた悲劇の爪痕が、2世代をまたいでまだ残されているということでしょうか
主人公の年齢からすると、内戦は祖母が適齢期だった頃のこと
つまり戦ったのは曽祖父が中心世代で、祖父も若くして巻き込まれたかも知れません

母の出生にはひょっとしたら秘密があっても不思議ではなかった時代なので、彼女にとっては遠い昔のことではあり得ない…

明るい太陽☀️の乾燥した国に流されたたくさんの涙
流れた涙の渇いた跡をも
そっと ささやくように
あるいはキスのタッチで
知らせてくれたように思います
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