このレビューはネタバレを含みます
傑作だと思う。これまでも女性を描いてきたペドロアルモドバルだが、今作は未だかつて観たことがない映画だ。
母親になったばかりの2人の女性。実は子供が取り違えられていたことが判明する。
その母親の1人ペネロペクルス演じるジャニスを軸に、彼女の人生におけるジレンマとスペイン社会の問題をパラレル的に描いていく。
ペネロペクルスは本当に素晴らしい役者だ。
アルモドバルらしい、生々しくも不完全な人間たちの物語に愛おしさすら感じる。
脈々と受け継がれる血縁で結ばれた家族の大切な存在がある一方で、たとえ血縁関係でなくとも、またたとえ一度は決定的な別れをした人間同士であっても、家族のようになっていくことができる様も同時に描いていたのではないだろうか。
それは私たち世界への希望だ。
今作もやはり赤や黄色やグリーンと言った色彩世界が、あぁ、アルモドバル作品を見ているなぁという気持ちにさせられる。