ぽち

パラレル・マザーズのぽちのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
3.4
商業的なスタイルをとりながら、訴えたいことをうまくそれに包んだ、監督の努力が伺える作品。

ラストのテロップでも分かるとおり、テーマや訴えたいことは歴史的事実を明るみに出すことであり、それをスペイン内戦と監督が一貫して描いてきたの母親に対する思いの上に乗せたもの。

そして、それを商業ベースに乗せるためにサスペンス色のある子どもの取り違えを前面に出し、上手く包んで両方の視点を持たせたのは、じつに上手い手法である。

ただ、やはり裏のメッセージが強烈で、結局最後は子供の取り違えの事件自体がかすむのが難点。

ペネロペはヴェネチア国際映画祭で女優賞を取っただけのことはあり見事な演技で見所だろう。

多分虐殺現場の発掘などはエステパルの集団墓地を参考にしているのだろうが、個人的にはその発掘などのドキュメンタリーとか、それを主題とした映画が見たくなってしまった。

ちょっと無理のある色付けではあったが、複眼で良くまとめられた作品。


余談。
自分の子で分かったとたんに連れて帰っているのだが・・・・
法律的に、とか、戸籍上は、とか考えると、これって訴えたら誘拐が成立しちゃうんじゃないかな・・・

まぁ、そこらへんは主題と全く関係ないのでファンタジーのような飛ばし方だけど、エンタメとして、そこを掘り下げて映画化したら、違った面白い作品が出来そう。
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