連続殺人犯が死刑執行までの暇つぶしをする。承認欲求を満たすために、今も生きているかつての獲物たちに『僕の事を忘れるな』とばかりに執着し、心を蝕み操り続ける。
そんな病になってしまう登場人物は自尊心の低い人達ばかり。心の柔らかい所が欲している言葉を榛村から与えられ心酔していく。
阿部サダヲさんの目はどんどんと迫ってきて吸い込まれる怖さ。魅力的なサイコパスを見事に演じている。
岡田健史さんは、公のイメージとは全く正反対の鬱屈した大学生を熱演。心の揺れ動きを繊細な演技で表現しているため、一緒に蝕まれていってしまう感覚に陥る。
面会室での二人のやり取りは見応えあり。
原作を読了していたので、登場人物の背景を踏まえて鑑賞できた。
未読だとその部分が足りないかも。それでも原作とは別物で映画を楽しめる。
少しでも気になっていたら、
劇場で観て頂きたい作品。
派手な暴力よりも、
もっと恐ろしいものがある。