このレビューはネタバレを含みます
気づいたら浸かってた-
原作未読。
めちゃくちゃ面白かった、ハンニバル・レクターさながらガラス一枚隔てた殺人鬼との対談にヒリヒリしながらも掴みどころのない事件もミステリーとして秀逸で気持ちよかった。
キルケゴールという哲学者は自己から目を背ける行為を"絶望"と比喩し、絶望しながら生きている人間を「死に至る病」とした。
もしキルケゴールの言う自己がとある人間にとっての殺人だったら…絶望と向き合った故に死刑になってしまう逃げ場のない狂気。
そしてこの病は決して感染しない、一人の人間の中で増幅し続けるだけなのだ。
面白くなるまでちょっと時間かかっちゃったけど、全体的に最高のサイコミステリーだった。