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死刑にいたる病のshishishiのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
2.5
用水路の水門を開けるシーケンスから始まるあたり、ジャンヌモローのマドモアゼルを思い起こして、ああこれから悪徳の物語を覗けるのか、なんてちょっとワクワクしたもんだがそんな大したことにはならなかった。

ゆっくり剥がされる爪のアップと苦痛に悶える善男善女の顔なんかはそれなりに楽しめたけれど、それの対比としての阿部サダヲのパン屋のシーンなんか、衣裳や光の入り方が銀行やら保険屋のCMに出てくるようなそれで、ただの映像であった。

あとハッキリ言うが、元来、阿部サダヲの顔というものは怖い。
小雪に匹敵するレベルで怖い。
いくらパン屋で可愛い格好していようが、怖いものは怖いので怖い顔に怖い役をやらせれば、それは中学の数学で習ったようにマイナス×マイナスはプラスになるのと同じで怖くはなくなるのだ。
いくら途中で阿部サダヲの目を正面のアップで捉えようが最初から怖い。

終盤でのプロジェクションマッピングを使用した面会室のシーンなんかも、映画としてよくわからないので、なんだか映画の力は消え失せて三井や伊藤忠のCMにでてくるようなそれで、ただの映像であった。
「凶悪」の面会シーンで見せたあの正面のカットバックの緊張感が恋しい。

しかしながら、ラストのアッと驚く事実の判明後に正面カットバックを用意したのは少々不適切だったように見える。
さぁおどろけと見栄を切られても、まぁさっき驚きはしましたけどはい、と家に帰るしかない。
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