はる

死刑にいたる病のはるのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

期待値がすごく高かったんだけど、そこまでおもしろい!とはならなかった。言い方は変だけど、普通におもしろいって感じ。典型的なサイコパスの話で、伏線回収とか細かいところのつながりもちゃんとある。個人的にはもう少しハイムラの過去が深掘りされていたら移入しやすかったかな?と思う。なんというか、こういう何か特定のショッキングな事件を追いかけていくうちに事件や犯人にのめり込んで自分を見失うのってなんでなんだろう。どういう心の働きでそうなるんだろう。事件に関わるショッキングな出来事に心が揺れて、その隙間にその人にとってのプラスの要素(この話だと認められるとか)があるとどんどん入ってしまうのかな。
ハイムラが言うように、被虐待経験のある子どもと関係を築くときに認めるって方法を取るのは確かにあるだろうと思う。基本的な人間関係の構築の基だろうし、基本的には良い効果のためにそれを使うけど、今回みたいな場合だと信頼関係を築くってよりは手なづけるって感じに近いのかなと思う。自分の支配下に置いて、相手を自分の思い通りにコントロールするための手段って感じかな。なんかそう思うと人と人との関わりって怖いよなあと思う。マインドコントロールに近いんだろうけど、信頼関係なんて本当は軸がゆらゆらした不確実なものなんだろうな。
作品の中でハイムラは相手を操縦するって言われてたけど、何かしらで満たされない思いをしている子が目の前の相手を思い通りにすることで心を満たそうとすることは異常なことではないと思う。ずっと支配下に置かれて思うように動かされてきた人であれば、虐待の再現性的な要素もあるだろうし。ハイムラが殺人を自分に必要なものだと話すのもそういう点で見れば理解はできる。この理解であってるかは知らないけど。なんというか、このこともだけど、被虐待経験から起こり得る思考や行動が典型的に使われてる感じがあったな。自分自身で選択できないとかもそれだよなあって思う。
おもしろかったけど、ところどころ結構モヤモヤは残るというか、意味わからん…みたいなところはあった。サイコパスの子どもだから人を殺せるみたいな思考とか、あかりの行動とか。ラストがあってもうーんと思う。ふたりともマインドコントロールの状態にあるからなのかなあ。猟奇的な犯罪者を崇拝する人は一定いるだろうし、そういう人に認めて頼らたら簡単にコントロールされるんかなあ。でも血を舐める描写は何を表しているのか…わかってくれるよね、っていうのも誰のどういう意味での言葉なのか…。
あと、岡田くんがまじでまばたきしないのですごく怖いです。そして母親から告白を聞いてるシーンで「あの人に見えた」って言われたところはまじでそうみえたのですごかった。
はる

はる