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死刑にいたる病のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

真面目な高校生を狙った栃木24人連続殺人事件。連続殺人鬼・榛村(はいむら)の営んでいたパン屋の元常連で当時中学生だった雅也は、起訴された9件の内、手口が異なる最後の1件の冤罪を証明して欲しいと榛村本人から依頼を受ける。

真犯人が野放しになっているかもしれない...という思いから雅也は真実を求めるが、”死刑にいたる病”というのは想像を超えてドス黒い。

手口に完璧さ・潔癖さを求める秩序型として榛村を捉えるなら、確かに最後の1件は他に真犯人がいるとも考えてしまう。しかし、この映画で描かれる病の深淵には、もはやそうした秩序/無秩序の区分すらない。

高校生という年齢ターゲットも、中学やもっと早い段階から唾をつけておく。自尊心が低い人間であれば誰しもが狩りの対象で、言葉巧みに心の中に入り込み、自身の思い通りに”操縦”した上で、2人の間に築かれた信頼やささやかな日常の幸福を徹底的に蹂躙する、そこにこそ快楽を覚える悪。

少し話しは逸れるかもしれないが、ビジネスの世界でも「稼ぎたいなら他人の時間を使え」とか言ってる人だったり、支配欲が異常に強い人はよく目にする。家族やコミュニティの崩壊、個人主義化、自己責任論、そうしたものは他人を養分にするような輩を増やし、社会全体の榛村化を進めていると考えることはできないか?等とも考えてしまった。

ラストシーンの彼女も恐ろしかった。ステーキ肉食べてたあのおじさんもきっと操縦された...とか考え出すと恐ろしい。
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