Kentaro

死刑にいたる病のKentaroのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.5
タイトルの意味がよくわからんかったのでググったら、キルケゴールの「死に至る病」から来ていて、絶望は人を死に至らしめ、絶望を回避するためには信仰をもつ必要があるというような内容らしい。

榛村は死を回避するために他者の精神的・肉体的支配を信仰し、「死に至る病」を回避するが、同時に「死刑に至る病」を発症したと解釈できる。

榛村のコントロール下に置かれた雅也も、親から虐待を受け、何者でもない自分という絶望の中で、榛村を信仰の対象とし殺人を犯す寸前まで突き進む。同じく灯里も殺人を犯しかねない思想を榛村から植え付けられる。ふたりは榛村を媒介して「死刑に至る病」に感染したと解釈できる。

つまり「死刑に至る病」は、過去のトラウマに起因する「死に至る病」を回避しようともがくほどに進行し、罹患者から感染もすることもある、怖くて悲しい病である。
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