イロカワ

サウダーヂ デジタルリマスター版のイロカワのレビュー・感想・評価

5.0
 サウダーヂリマスター版はとにかく夜景や、陰影のコントラストが強い場面に注目!本当に綺麗になっていて感動した。キレイになればなるほど、綺麗なものも汚いものもハッキリと見えてきて、シーン一つ一つの重要性がよくわかる。
 
 土方の精司はバブルの頃で時間が止まっていて本当に痛々しくて哀しい。紫のコンサを着てパーティーに出席する彼は、最早この世に居場所が無いというような孤独を感じさせる。
 
 私は平成生まれなのでバブルを感じることができる世代ではないが、それに憧れる気持ちは痛いほどわかる。かつて、本当はこうでなかった、自分のあるべき姿を追い求める哀しい映画。それはサウダーヂという言葉でまとめられる。
 
 サウダーヂとはブラジルの言葉で憧れを含んだ郷愁、ここでは無い何処かに憧れる複雑な感情を表した言葉だそうだ。まさにこの映画そのもの。それは山王団地であり、バブルであり、ブラジルであり、フィリピンであり、タイでもある。確かな事はそれが日本以外の場所だという事。

 誰も居なくなったわけではなく、皆がそこに存在しているのに、空洞化が生まれていく地方都市の姿こそが日本という国の正体だ!
イロカワ

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