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サウダーヂ デジタルリマスター版のNUZOOのレビュー・感想・評価

4.5
前に観た時から5年くらい空いて2回目だったけど前よりも面白く感じられたし、今回は長いとすら思わなかった。
キャラクターを知っていることもあるけど、自分の経験や知識が増えたことが大きいかもしれない。

あらためて観ると、甲府を舞台に、日本、ブラジル、タイを"ドカタ"と音楽とドラッグと(その他もろもろと)で繋ぐというアイデアが相当素晴らしい。
地方のリアルな地元話でありながら、この地が遠い国とも繋がっていること、社会と個人が切り離せないこと、それでいて断然はどこかしこで起こっていることなどを俯瞰ではなく住む人々の目線から描けている。

とっちらかった群像劇のようでいながら全体で迫ってくるものが一貫していて、あらゆるシーンやモチーフ、セリフの全てがリアリティに裏打ちされているような真実味を持っているのがすごかった(本編上映後に流れた次回作の予告では「サウダーヂの時は甲府を外から描いていたと今になっては思う」というような監督の言葉があったが、スラムツーリズムのような搾取は感じない)。
笑える突拍子もない変なシーンも浮いていないし全体のムードを形成する一部になっている。

笑いの切れ味がいいのもこの作品の良いところ。
カットやシーンのつなぎも、同じ動作でつないだりわざとギャップのあるシーン同士でつなげて笑わせたりと気が利いてる。

地に足がついていながらグローバルでもあり、リアルでありながらファンタジックでもある謎な映画。
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