ぶてぃ

サウダーヂ デジタルリマスター版のぶてぃのレビュー・感想・評価

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この作品が公開されてから14年後、転勤で2年間甲府で働いていた。変わらないシャッター商店街や甲州弁の会話が懐かしく思い出される。イオンができる前のだだっ広い建設予定地と主人公たちの会話が妙に印象に残る。
隣接しているにも関わらず東京は遠い存在で、周囲を高い山々に囲まれた陸の孤島の閉塞感、そして盆地特有の異常な暑さ(冬はとにかく寒い)を思い出すに、土方もヒップホップも移民問題もこの土地を切り離して考えることはできないし、そこに生まれついてしまった、辿り着いてしまった登場人物たちの絶望感に出口はない。土方の作業現場の場面がとても魅力的なのも、大自然によって育まれた白州の水がこの映画ではいかがわしさの中に取り込まれてしまうのも、この土地を知っている者しか描けない細部。

記憶に残るような横移動がいくつかあって田我流がシャッター通りで見せるフリースタイルを横移動で捉えるシーンなんかも最高なのだが、宮台真司演じる政治家のポスターが延々とついてくるのが可笑しかった。