おでい

カラダ探しのおでいのネタバレレビュー・内容・結末

カラダ探し(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

つまんなくはないんだけれど、不満は残る映画。

色々な映画のオマージュが詰め込まれているらしく、出てくる井戸は完全にリングですよね。
同じ日がループするのはハッピーデスディ、予兆を感じるのはファイナルディスティネーションぽいし、映画では無いけれど部屋部屋でモンスターが襲ってくるのはホラーゲームのクロックタワーぽい。
その他にも既視感のあるシーンはチラホラと。

設定が高校生なんだけれど、等身大に描けていない感じがします。
橋本環奈さんは童顔で素敵な俳優さんですが、さすがに知名度も高まってしまったせいもあって、やはり女子高生の役は厳しいと感じたし、普段のキャラを考えると陰キャを演じきれていないのも感じました。
ほかのクラスメイトも同様で少し年齢が上に感じ、むしろ設定を大学生にしてしまっていたらしっくり来ていたかもしれないし、新人さんでも良いので等身大の俳優さんが良かったなと思います。

原作ありきなせいかもしれませんが導入が雑。
いきなりカラダ探し始まるもんだから頭の切り替えがついて行かないし、やっぱり最後の最後まで赤い怪物は何?っていうのが邪魔して集中しにくい。

初めてのカラダ探し翌日に仲間がすんなり受け入れてしまうのも違和感があった。
映画の尺の都合上しょうがないかもしれないけれど、せめて2周は回ってから受け入れ始めるというのが良かったかなと。

陰キャ陽キャ含めて、接点の薄いクラスメイトがループの経験から友情が生まれるというのは良い見せ方だとは思うものの、メガネの陰キャの子が突然コメディ映画のように人が変わるのは世界観ぶち壊しだし、仲良くなるの早すぎかなと。
ただ、生死の関わるループの中でも、それが仲間の楽しみになってくるというのは、いかにも今を生きている高校生ぽいし、そこは良かったと感じました。

仲間が集められた理由が孤独を感じていたからというシーンが後半に出てきて、それぞれの孤独の理由が語られるものの、仲間はずれの主人公や不登校の男の子、いじめられっ子は理解できるものの、その他の子達に関しては序盤に掘り下げなどが無かったせいもあり、なるほどとも思えず、ふーんという感じ。
変に尺稼ぎしているシーン省いてもっとそこに時間使えば良かったのに。

ほかのレビューでも指摘の多い青春群像劇なシーンは、明暗を付けるという意味では効果的ではある反面、しつこすぎる繰り返しにテンポを崩し軸をブレさせてしまいデメリットになってしまっている。

この辺りハリウッド作品は上手で、歌1曲分程度でダイジェストで描き、その後はホラー映画として切り替えるというテンポをキープしています。

もしかしたら編集担当の人が下手なのかもしれないですが、日本の映画ってまだまだスピード感出すの下手だし、これからって感じがします。

ラストの顔を戻すシーンはひたすらイラッとさせられ、多くの人が早く顔戻せよって思ったのでは?
モンスターに食われたら消えるわけじゃないですか?
目の前にはまだ食われてない幼なじみ、そして自分も食われる可能性もあるのに、さっさと顔戻したらループ抜けられて幼なじみも消えない可能性あるのに、あのシーンだけ矛盾を産んでます。
今までパーツ探しまくってさっさと合体させてきたのはなんだったの?

エンドロール前後のラストシーンは考察が必要ですね。

タイピンを拾った幼なじみに記憶が戻り、見つけた的なセリフと、主人公あすかの笑顔からも記憶が戻ってハッピーエンドみたいな感じですが、エンドロール後の井戸の底の新聞の写真があすかに変わることから、新しい生贄としてあすかが選ばれたって事が描かれており、子供の頃に遊園地でっていう幼なじみのセリフの伏線もあり、新聞の見出しから何かが起こるはずで。
もしかしたら過去と未来が変わって、あすかは1度幼い時に事件に巻き込まれ失踪、その後新たな生贄が誕生し再び未来が変わり、幼なじみが見つけたってことなのかなぁと深読みしつつ、やはり純粋に記憶を思い出したって事なんでしょうか。

でもそれだったら過去の新聞の記事を出すっていうのは無意味で、未来の記事を出す方が理にかなっている気がします。

村シリーズもそうですが、最近の日本のホラー作品はわざとエンディングをぼやかして考察させ、何度も作品を見させるという風潮があります。
これ、明らかにセールスを伸ばそうとさせているし、続編の可能性残しているし、そろそろこういうのやめて、ちゃんと納得できるわかりやすいエンディングにしてほしい。