酒井欣也監督はじめて。もしかしてゴショヘー「白い牙」級のスピ傑作か…と震えながらみていたがそこまではいかずでした。素晴らしく凝った照明に厚田様の撮影・伊福部アコースティックギター、冒頭の眩しすぎる陽光が反射した浜辺の波には心底感動した。

2021年7月ラピュタにて
タイトルをずっと「海を駆ける女」と思い込んでいた。海も駆けるも間違えすぎ。キャスティング眺めてるだけで心震える。ヴェーラの吉田輝雄特集また見に行きます…！

やたら照明に気合いが入っていて画面が暗かったりするのが面白いけど、ひたすら鈍重なドラマが展開されたり、物語の制約上仕方がなくドテッとクローズアップが入ってきたりで中々辛い。撮影が厚田雄春。

前情報何も入れずに軽い気持ちで観たが、まじで最高だった。純粋な女子高生である路加奈子が帰宅した時、婚約をする予定だった男と母親の情事を目撃してしまう。
母親の情事を目撃した後、路加奈子が教会に駆け込む流れがヤバい。しかも日本映画で！！抱き合う男女の影がエロかった。部屋が暗すぎるし、気づいたら人が立っているし、(吉田輝雄が出港前に家の前に立っているあのショット！)前半の演出が完全にホラー。母親を見つめる路加奈子の顔がいちいち怖すぎる。
後半も後半でかなりぶっ飛んでて貞操観念が狂った路加奈子が遊び呆けている川津祐介と出会う。睡眠薬を飲んで体調が悪くなった路加奈子に対して川津祐介が「胸に冷たい手を当てると落ち着くよ。僕の手は冷たいんだ。」と無理矢理手を入れるのに爆笑した。人を愛することを説いた佐野周二が最後までいいやつなのかと思いきや…。
性欲が抑えきれなかった高峰美枝子、親子丼しても爽やかな吉田輝雄、睡眠薬を飲ませてヤろうとする川津祐介(いつも通り変な役を演じてる…)、画家の佐野周二など豪華キャストがみんなクセ強い。しかも撮影:厚田雄春、音楽:伊福部昭と謎に豪華。こんな内容でも良い役者とスタッフで撮れてしまうスタジオシステムのありがたさを痛感したし、松竹映画で性をテーマにした珍作が撮られていたことに心底感動した。良い映画です。

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