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ある男のEDDIEのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.7
思い違い、言い間違い、勘違い、全ては自分の理想や経験則を押し付けているのではないか。
親子、夫婦、兄弟、他人である以上血縁があれどわかるわけないのだ。真実を追求したい…それでも事実はそこにある。ただ緻密に計算され尽くした構成に唸るしかない。


震えた。ハンパねぇ。大傑作…!!

久しぶりに「え?もう終わり?」ってぐらい体感時間短かったです。でもちゃんと121分あるし、まだその先が見てみたいぐらいの気持ちがありました。
とはいえ、終わり方も最高に良かったってのが素晴らしい。

石川慶の演出力、平野啓一郎の原作の物語の奥深さ、妻夫木聡の豹変、窪田正孝の妙演、安藤サクラの奥底に秘めた戸惑い、真木よう子のわからなさ、柄本明の怪演、小籔千豊のひょうきん、でんでんの怒りと喪失、清野菜名の静かな歓び、子役までがハイレベルに仕事をこなす。
いやぁ邦画の最高峰ではないでしょうか。

なぜ夫を亡くした安藤サクラではなく、妻夫木聡が主人公なのか。
妻夫木視点で物語が進行すること、それは一種のミステリーとしての見応えの良さを表出させるのですが、何よりもラストですよ。そこまでの持っていき方も絶妙。
窪田正孝演じる正体不明の男の正体。そこに驚きはあるんですが、それ以上の伝えたいメッセージがあるわけです。

美術など、一つひとつのアイテムの見せ方も巧み。セリフで説明しなくとも感じ取れる絶妙なラインです。

〈キャスト〉
城戸章良(妻夫木聡)
谷口里枝(安藤サクラ)
谷口太祐(窪田正孝)
後藤美涼(清野菜名)
谷口恭一(眞島秀和)
中北(小籔千豊)
悠人(坂元愛登)
武本初江(山口美也子)
伊東(きたろう)
柳沢(カトウシンスケ)
茜(河合優実)
小菅(でんでん)
城戸香織(真木よう子)
小見浦憲男(柄本明)
花(小野井奈々)

※2022年新作映画149本目
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