ぶみ

ある男のぶみのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
昨日は、休日出勤の代休であったため、久々に三本はしごを朝昼晩で敢行。
その一本目がこちら。

それでも、また愛せるのか。

平野啓一郎が上梓した同名小説を、石川慶監督、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝等の共演により映像化したドラマ。
突然不慮の事故で亡くなった夫が、実は全くの別人だったことが判明した妻と、その真相を突き止めようとする弁護士等の姿を描く。
原作は未読。
弁護士に相談した妻、里枝を安藤、弁護士の城戸を妻夫木、大祐と名乗っていた謎の男を窪田が演じているほか、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、山口美也子、仲野太賀、真木よう子、柄本明、きたろう、カトウシンスケ、河合優実、でんでんが登場と、老若男女の演技派が勢揃い。
そんな中でも、主人公夫妻の中学生の息子を演じた坂元愛登は本作品が映画デビューとは思えないほどの演技力を見せてくれており、今後も目が離せない。
また、でんでんやカトウ、河合といったボクシングジムのメンバーも、登場シーンは多くないものの、抜群の存在感を見せてくれているとともに、化粧濃い目の清野も見逃せないポイント。
物語は、序盤は夫婦の出会いが丁寧に綴られていくが、窪田演じる夫が別人とわかった辺りから一気にサスペンス調へと舵を切ることとなる。
そして、そこからは妻夫木演じる弁護士の視点も入り混じってくる展開となるため、そもそも彼が誰なのかというミステリと、皆が抱える過去が見え隠れするドラマが折り重なり、終始目が離せなくなることに。
そうして迎えた結末の切れ味は、エンドロールが流れている間、観る側に深い余韻と思考を突きつけてくるもの。
描かれているテーマは、実は中々真正面から向き合うことのなかった内容であるものの、しっかりと考えるべきことであるとともに、妻夫木がバーで呑んでいると、どうしても某大人エレベーターシリーズのコマーシャルを思い出してしまう良作。

知ってたら、怖いですよ。
ぶみ

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