カズザク17

ある男のカズザク17のレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.8
人は誰でも、人生をやり直したい…って思った事が、多かれ少なかれあるんだと思う。それが、自分がやってきた事に対する後悔であれば、それはそれで諦めもつくように思う。ただ、自分ではどうする事も出来ない運命や境遇の場合、この映画のように、別の人間として一から人生をやり直す…って事も理解出来なくはない。
嘘・偽りは、ダメな事だと思う。でも、全てを真実として明るみにする事も、時と場合によっては、嘘・偽りよりも「悪」の場合があるように思う。事故と偶然が重なって明るみに出た嘘・偽り…知ってしまった事で、悲しみだけではなく、不安・憤り・やるせなさ等の様々な感情を抱えてしまう。
「悲しい」と「寂しい」、同じような負の感情だけど、この映画の場合、「寂しい」の方がより深い感情のように感じた。「悲しい」の場合、時間の経過とともに、少しずつだけど薄まっていくように感じた。「寂しい」の場合、いつまでも経っても、ポッカリ空いた穴が塞がらない…いつまでも忘れる事が出来ない感情のように感じた。