メイマーツインズ

ある男のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.1
《愛したはずの夫は、全くの別人でした》

石川慶監督、妻夫木聡主演で描くヒューマン・ミステリー。
2023年度日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品。
ホテルのオンデマンドにて。


これは、想像以上に深く、そして切ない物語…。

殺人を犯し死刑となった父親に生き写しのように似てしまった息子。
少年時代に凄惨な殺人現場に遭遇した息子にとって、自分の姿を見る度に自分を否定したくなるのは当然といえる。
心に深い傷を抱えた息子が人生を生きるために選択したこととは…

殺人者の息子を演じる窪田正孝の表現力に圧倒される‼︎
表情や仕草で壊れた心を映していて、凄まじい演技を披露している。
安藤サクラや妻夫木聡の抑えた演技、そして柄本明の独特の存在感で作品をミステリアスな雰囲気で包み込む。
観る者の感性に委ねるラストは秀逸で、とても印象的だ。

世の中には、壮絶で過酷な宿命を背負い生きている人が少なからずいる。
現実逃避するために自分を捨て他人になってでも生きようとする…
そんな生き方を自分は理解はできない。でも否定もできない…
人生観を刺激してくれる作品です。