ぼっちザうぉっちゃー

ある男のぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

雨の湿っぽさとか謎を追うサスペンス感とか、所々の印象としては韓国ノワール風な感じがした。しかし全体としては、やはりそれに加えて日本風の切実なファミリードラマの側面も強いような気がして、個人的に好みだった。

特に映像の生っぽい感じがすごかった。基本的にはダウナーで冷めた作風でありながら、手持ちによって生まれる感情の機微もしっかり写されているような気がした。

真相は明らかになり家族の受容も前進するなかで、妻夫木聡の境遇だけ嫌な閉塞感に満ちていて、どうなるのかと思えば、ラストにおいて冒頭の奇妙な絵と重なるその姿。
自分の力ではどうしようもない、それでいて逃げ出しようもない「自分自身」の問題を抱えながら笑って“身の上”を話すその様子に、「ある男」の誕生を見た。